MARCH、関関同立、国公立(難関未満)の法学における実力を比較します。対象大学は以下の通り。
・MARCH・・・明治大、青山学院大、立教大、中央大、法政大
・関関同立・・・関西大、関西学院大、同志社大、立命館大
・国公立(難関未満)・・・旧帝・一橋・神戸大以外の法学を学べる大学
【法学の充実度】MARCH・関関同立・国公立を比較
法学を学ぶ環境がどれだけ充実しているかを見るために、法学教員の専門分野の割合を集計しました。
法学は、公法、民事法、刑事法、基礎法、国際法の5分野に大きく分けられ、以下の表で各大学にどの分野の教員が多いのか、バランスよく揃っているのかが分かります。
【法学を学べる大学】法学教員の分野の割合

まず、5分野に教員がそれぞれ1名以上在籍しているのは、
MARCH、関関同立、山形大、福島大、茨城大、千葉大、東京都立大、新潟大、金沢大、静岡大、大阪市立大、岡山大、広島大、香川大、愛媛大、熊本大です。
特に、明治大、中央大、法政大、関西大、千葉大、大阪市立大、岡山大、広島大、愛媛大、熊本大は手薄になりがちな基礎法と国際法の割合も比較的高く、5分野の教員がバランスよく揃っています。
やはり、「法学部」として独立した学部の方が様々な分野の教員が揃っていることが分かります。
反対に、埼玉大、横浜国立大、富山大、滋賀大などのように、経済系学部で法学を学ぶ大学は基礎法と国際法の教員がいない、または少なく、実用的な分野である民事法の教員が多いことが分かります。
ただ、学問よりもとにかく司法試験や行政書士などの資格取得を目指したいという目的なら、公法、民事法、刑事法の3分野を十分に学べる環境であれば特に問題はないでしょう。
ユニークな分野の教員が在籍しているのが明治大と新潟大。この2校はインターネット、サイバーセキュリティにおける法分野である「情報法」の教員がそれぞれ2名も在籍しているので、学びたい人にはオススメ。
【法学の研究力】MARCH・関関同立・国公立を比較
国や独立行政法人などから優れた研究課題に配分される研究費を比較します。
【法学分野】研究費推定配分額ランキング(過去5年間合計)
順位 | 大学 | 研究費推定配分額(円) |
(参考) | 早稲田 | 7.10億 |
(参考) | 名古屋 | 5.03億 |
1 | 同志社 | 2.53億 |
2 | 中央 | 2.30億 |
3 | 立命館 | 2.19億 |
4 | 明治 | 2.18億 |
5 | 立教 | 1.21億 |
6 | 法政 | 1.15億 |
7 | 筑波 | 1.03億 |
8 | 横浜国立 | 1.03億 |
9 | 千葉 | 9,466万 |
10 | 関西 | 8,590万 |
11 | 関西学院 | 8,291万 |
12 | 金沢 | 8,027万 |
13 | 大阪市立 | 6,944万 |
14 | 岡山 | 6,856万 |
15 | 東京都立 | 6,839万 |
16 | 琉球 | 6,646万 |
17 | 熊本 | 6,644万 |
18 | 新潟 | 6,402万 |
19 | 青山学院 | 5,781万 |
20 | 静岡 | 4,715万 |
以下省略 |
※日本の研究.comをもとに作成
教員の規模を考慮すれば、18位の新潟大までは法学の研究が盛んに行われていると言っていいでしょう。
特に、同志社大、中央大、立命館大、明治大は強いです。この4校は法学において日本有数の歴史を有しており、法学部が看板です。
【司法試験実績】MARCH・関関同立・国公立を比較
裁判官・検察官・弁護士になるためには司法試験に合格しなければなりません。
その受験資格を得るには、法科大学院を修了するか、予備試験に合格する必要があります。
予備試験は合格率が低すぎて今回の大学を比較するのに向かないので、各大学の法科大学院修了者の司法試験合格実績を比較します。
各大学法科大学院の司法試験累積合格率ランキング(2005~2017年度)
順位 | 大学 | 合格率(%) | 合格者数(人) |
1 | 中央 | 68.1 | 2,076 |
(参考) | 早稲田 | 64.0 | 1,669 |
2 | 千葉 | 62.4 | 295 |
(参考) | 名古屋 | 60.3 | 464 |
3 | 東京都立 | 60.3 | 392 |
4 | 大阪市立 | 52.2 | 296 |
5 | 明治 | 48.7 | 832 |
6 | 同志社 | 47.4 | 522 |
7 | 広島 | 44.6 | 174 |
8 | 岡山 | 44.5 | 154 |
9 | 立命館 | 42.8 | 503 |
10 | 関西学院 | 41.8 | 350 |
11 | 横浜国立 (募集停止) | 41.3 | 171 |
12 | 金沢 | 40.8 | 95 |
13 | 法政 | 40.2 | 296 |
14 | 立教 (募集停止) | 37.5 | 209 |
15 | 琉球 | 36.4 | 60 |
16 | 関西 | 35.5 | 305 |
17 | 熊本 (廃止) | 34.9 | 61 |
18 | 新潟 (廃止) | 33.2 | 90 |
19 | 筑波 | 30.5 | 87 |
20 | 静岡 (廃止) | 28.5 | 37 |
21 | 島根 (廃止) | 26.3 | 30 |
22 | 青山学院 (募集停止) | 26.1 | 79 |
23 | 信州 (廃止) | 25.6 | 43 |
24 | 香川 (廃止) | 25.5 | 38 |
25 | 鹿児島 (募集停止) | 18.5 | 25 |
以上の大学以外は法科大学院未設置 |
※文部科学省「法科大学院別司法試験累計合格者数等(累計合格率順)」より
※合格率は受験者数に対する割合
中央大学が今回の大学では圧倒的な数字です。
全国トップクラスの実績を残しており、数多くの法曹を輩出しています。「法科の名門」と呼ばれる所以です。
法科大学院は定員割れ等の理由により、廃止または学生募集停止に追い込まれる大学が相次いでいます。今回の大学においても上の表のとおり、青山学院大、立教大、横浜国立大などの有力大学も学生募集停止となっています。
【国家公務員総合職】MARCH・関関同立・国公立を比較
公務員試験は法律科目が大きなウエイトを占めるので、法学部は公務員志望の学生が多く集まります。
今回はその公務員試験の最難関である国家公務員総合職の合格実績を比較します。いわゆる「キャリア官僚」になるための試験です。
【法学を学べる大学】国家公務員総合職 合格者数ランキング2020
順位(全国) | 大学 | 合格者数(院卒含む) |
6 | 立命館 | 60 |
7 | 中央 | 59 |
8 | 岡山 | 56 |
15 | 広島 | 41 |
18 | 筑波 | 29 |
19 | 千葉 | 24 |
20 | 明治 | 21 |
22 | 同志社 | 18 |
23 | 大阪市立 | 17 |
25 | 横浜国立 | 14 |
30 | 法政 | 11 |
30 | 岩手 | 10 |
30 | 東京都立 | 10 |
30 | 関西学院 | 10 |
※リセマム『合格者最多は「東大」249人…国家公務員採用総合職試験2020』より
立命館大、中央大、岡山大、広島大が強いです。
関関同立ではここ10年間ほど、立命館大>同志社>その他という状況が続いており、また、立命館大と同志社大の差は開いていく傾向にあります。
中央大と岡山大は伝統的に国家公務員総合職の合格実績が高いです。中央大は難関試験に挑む学生のための学習施設である「炎の塔」があることで知られ、国家公務員や司法試験などの難関試験合格を目指す学生が多く集まる大学です。
岡山大の実績が伝統的に高い理由については、この記事で紹介されています。→WEDGE Infinity『官僚試験合格者を急増させる地方国立大の正体』 どうやら、腕試しで受ける学生が多いようですね。それでも合格者が出ているわけですから、実力のある学生が多いのでしょう。
ただ、国家公務員に採用されるには試験に合格した後、各官庁で面接を複数回受けなければならないので、首都圏の大学の方が経済的には有利です。
まとめ
今回見た指標から総合的に考えると、
MARCHは明治大、中央大
関関同立は同志社大、立命館大
国公立(難関未満)は千葉大、東京都立大、大阪市立大、岡山大、広島大
は法学分野で特にオススメできる大学といえます。
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